二条城のそばにある総合内科クリニック、京都市上京区主税町に開院。「永原医院」です。

生活習慣病領域 糖尿病・高血圧症

糖尿病

糖尿病とは?

血糖値が長期間高い状態が持続することで、全身に様々な合併症を引き起こす病気です。病気が進行すると尿中に糖が漏れてくるため、糖尿病と名づけられました。糖尿病が継続することで寿命が大幅に短縮することが分かっており、早期発見、早期治療が勧められる病気の一つです。

健常の身体の状態では、血液中のブドウ糖(血糖)は膵臓から分泌されるインスリンの力により肝臓や筋肉の細胞に吸収されていきます。インスリンとは、ブドウ糖を細胞の中に取り込むための「鍵」のようなものです。インスリンが鍵として細胞表面の鍵穴に差し込まれて扉を開け、中にブドウ糖が入っていくようなイメージです。

しかし、糖尿病を発症して血液中の血糖が高くなると、鍵であるインスリンが細胞の表面にある鍵穴にはまりにくくなります。すると、細胞に取り込まれなくなったブドウ糖は血液の中に残ってしまい、ますます血糖値が高くなってしまいます。一方、鍵であるインスリンは、何とか頑張って扉を開こうと膵臓から大量に生産され、血液中にどんどん増えていきます。このような状態を「インスリン抵抗性の増大」と呼び、2型糖尿病の初期の段階から多くの糖尿病患者さまが経験されます。 この状態が長く続くと、インスリンの製造庫である膵臓がだんだん疲弊していき、インスリンを作る力が弱まっていき、徐々に血液中のインスリンの量が減少していきます。このような状態を「インスリン分泌能の低下」と呼び、2型糖尿病が進行していくことで現れてきます。

糖尿病の危険性

  • 要介護の原因
  • 寿命が短縮(男性8年、女性11年)

糖尿病は要介護の原因となる脳卒中(脳梗塞、脳出血)、認知症、骨折の重要なリスクとなります。ここ50年で35倍まで増加しており、平均寿命が男性8年、女性11年短縮すると言われています。

糖尿病の原因

  • インスリン抵抗性の増大
  • インスリン分泌能の低下

糖尿病の原因は多岐にわたりますが、大きく分けると「インスリン抵抗性の増大」と「インスリン分泌能の低下」により発症・悪化していきます。
「インスリン抵抗性の増大」を生じるものとして、肥満、食べ過ぎ(過食)運動不足があります。また、過度の飲酒や喫煙、ストレス、睡眠不足などの生活習慣もインスリン抵抗性増大の原因と言われています。これら以外にもステロイドなどのお薬による薬剤性の糖尿病を起こすことがあります。
「インスリン分泌能の低下」が生じるものとして、前述しましたように、2型糖尿病で高血糖が長く継続することで膵臓が疲弊してしまい、インスリン分泌が低下していき、さらに糖尿病が悪化していきます。また、遺伝的な要因や、膵臓自体の障害(膵炎や膵癌など)で膵臓からのインスリン分泌が低下し、糖尿病を発症することもあります。

2型糖尿病の原因

HbA1cのイメージ

糖尿病でよく測定される項目の一つに「HbA1c」があります。これは過去2か月の平均の血糖の指標と言われていますが、イメージしにくい数値でもあります。当院では、HbA1cのイメージをわかりやすく持っていただくために、このHbA1cの値の前に「3」という数値を付けて、「糖尿病のお熱」だとイメージしていただくように説明しています。 たとえばHbA1c:7.0であれば、37.0℃で微熱のイメージを持つことができます。HbA1c:9.0であれば39.0℃となり結構な発熱だとイメージしやすくなります。これを元にHbA1c:6.5(36.5℃の平熱)くらいまでまずは改善しましょう、といった感じで治療を勧めています。

HbA1cのイメージ

糖尿病の経過

糖尿病とは長くお付き合いする慢性疾患というイメージがあります。しかし、実際の糖尿病は、血糖値の高い状態が継続していると、水面下で徐々に膵臓の状態が悪化(膵β細胞機能が低下)していく進行性の病気でもあります。

2型糖尿病の経過

糖尿病の経過

糖尿病

糖尿病が長期間継続すると、表にあるように、脳、眼、歯、心臓、肝臓、腎臓、骨、関節、血管、神経、精神にまで、様々な合併症をきたしてくることがあります。そのため、早期に発見し、適切な治療を行うことが非常に重要になります。

糖尿病の症状(合併症の症状)

  • 神経障害(手足のしびれ・痛み)
    糖尿病を発症してから比較的早期より出現します。左右対称性で、指先からはじまり徐々に体幹方向へしびれや痛みが移動してきます。「足の裏に紙が一枚挟まっている感じがする」などの違和感で気付かれる方もおられ、神経障害がひどくなると外眼筋麻痺(眼球が動かしにくくなる)、顔面神経麻痺(顔の筋肉が麻痺する)、立ちくらみなどを生じることもあり、痛みに対して感覚がマヒしてくるため、心筋梗塞を発症しても胸痛を感じないこともあり、発見が遅れることがあります。
  • 眼障害(視力低下)
    糖尿病に伴う高血糖により、眼の中にある網膜の毛細血管が障害され、網膜で出血が起こったり、タンパク質や脂質が漏れ出て沈着していきます。これが進行すると網膜の浮腫が進行し、視力が低下していきます。
  • 腎障害(尿の泡立ち、全身の浮腫み)
    糖尿病を発症して5-10年程度で出現してきます。尿中に蛋白尿が出現し、適切な治療を行わないと徐々に腎機能が悪化していき、クレアチニン値2mg/dl以上になると平均2年で透析導入になると言われています。
  • 血管障害(突然の頭痛・胸痛、手足の麻痺など)
    糖尿病患者さまでは、高血糖に加えて高血圧、高脂血症を合併していることが多く、これらの状態が長期間継続すると動脈硬化が進行し、脳血管が詰まると脳梗塞、冠動脈が詰まると心筋梗塞を発症することがあります。糖尿病による神経障害がある場合には、心筋梗塞を発症しても胸痛を感じないことがあり、注意が必要です。
  • 歯周病(口臭、虫歯等)
    糖尿病患者さまでは、歯周病が悪化し口臭の悪化、虫歯の出現などを認めることが多くなります。

糖尿病の診断

当院で糖尿病を疑った患者さまには、下記のように詳細に問診をさせていただき、リスクや合併症の評価をします。その後に血糖値、HbA1cを含め採血をさせていただきます。また、様々な合併症を発症していることがありますので、スクリーニング検査(尿検査、胸部レントゲン、心電図等)も行うことがあります。糖尿病が疑わしい場合には、近医の眼科を紹介させていただき、網膜症等の評価をすることもあります。

糖尿病の問診

糖尿病のコントロール目標

成人糖尿病の血糖コントロール目標(HbA1c)

治療の目標は、患者さまの年齢やこれまでの糖尿病を患っていた期間、合併症の有無、低血糖のリスクなどを加味して一人一人で決めていきます。合併症を予防する目的でのHbA1cの目標値は「7.0未満」を目指します。また、血糖正常化には、HbA1cを「6.0未満」を目標としますが、内服薬で血糖を下げすぎると、低血糖などの副作用の出現に注意が必要になります。

成人糖尿病の血糖コントロール目標(HbA1c)

糖尿病治療ガイド2020-2021 P.33,文光堂,2020より抜粋
高齢者糖尿病の血糖コントロール目標(HbA1c)

高齢者では、一般成人の患者さまと同様に、年齢や罹病期間、合併症の有無、低血糖のリスクに加えて、認知機能の状態、現在のADL(一人でどのくらい日常生活をおくれているか)やその他の持病を加味して、総合的に目標値を判断します。高齢者では、加齢に伴い低血糖を起こすリスクが高くなるため、若干目標の血糖値は下げて(甘く)設定しています。

高齢者糖尿病の血糖コントロール目標(HbA1c)

「日本老年医学会・日本糖尿病学会 編・著:
高齢者糖尿病診療ガイドライン2017, P.104,南江堂,2017」より転載

低血糖時の対策

  • ①低血糖症状が出にくい、または非典型的な症状で起こりやすいことを教育する。
  • ②いつもと変わった症状がある場合にはブドウ糖または糖分を有する飲料水を摂る。
  • ③血糖自己測定ができる場合は、いつもと変わった症状がある場合に実施する。
  • ④欠食を避けるように患者さまおよび介護者に指導する。
  • ⑤食事摂取の低下した場合、SU薬を減量・中止、インスリン量を減らすことをあらかじめ指示する。
  • ⑥認知機能やADLを考慮した柔軟な血糖コントロール目標を設定する。
  • ⑦低血糖を起こしにくい薬剤を選択する。
  • ⑧腎機能に応じてSU薬の服用量を調節し、中等度以上の腎機能障害がある場合には減量または中止する。
  • ⑨インスリン製剤でも持効型インスリンなど比較的低血糖を起こしにくい製剤への変更を考慮する。

超高齢社会におけるかかりつけ医のための適正処方の手引き 日本医師会2019より

糖尿病の食事療法

  • ①腹八分目とする
  • ②食品の種類はできるだけ多くする
  • ③動物性脂質(飽和脂肪酸)は控えめに
  • ④食物繊維を多く含む食品(野菜、海藻、きのこなど)を摂る
  • ⑤朝食、昼食、夕食を規則正しく
  • ⑥ゆっくりよく噛んで食べる
  • ⑦単純糖質を多く含む食品の間食を避ける

糖尿病治療ガイド2020-2021より抜粋

糖尿病の食事療法として、おなか一杯に食べるのではなく、毎回の食事を腹八分目としてください。また、できるだけ多い種類の食品を、できる限り朝昼夕の3食、規則正しく、ゆっくりと召し上がっていただくようお伝えしています。具体的な食品に関しては、患者さま一人一人の生活スタイルに合わせて、外来でアドバイスしていきます。

病態に合わせた治療選択

  • インスリン抵抗性改善薬:ビグアナイド薬、チアゾリジン薬
  • インスリン分泌促進薬:SU薬、グリニド薬、DPP4阻害薬、GLP-1受容体作動薬
  • 糖吸収・排泄調整薬:αグルコシダーゼ阻害薬、SGLT2阻害薬
  • インスリン製剤

2型糖尿病の治療薬の選択は、患者さまの糖尿病の病態によって変わってきます。インスリン抵抗性の増大(筋肉や肝臓が、血糖を取り込む力が弱っているため、血糖値が下がらない状態)の有無や、インスリン分泌能低下(膵臓からインスリンを放出する力が弱っている状態)の有無、また食後高血糖の有無などで、患者さまごとに治療薬を調整して使用していきます。

高血圧症

高血圧症とは?

高血圧症とは、血圧が高い状態が長期間継続することであり、その結果、全身に様々な合併症を引き起こします。高血圧は脳卒中、心筋梗塞、心不全の最大の危険因子と言われており、早期発見・早期治療が非常に重要な病気になります。

高血圧の診断基準

成人における血圧値の分類

日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン作成委員会編:
高血圧治療ガイドライン2019(JSH2019), p18 ライフサイエンス出版2019.一部改変

高血圧といっても、患者さまの血圧によって呼び方が様々に分かれていきます。糖尿病や心臓の病気、腎臓の病気など、抱えている病気によって、どのくらいまで血圧を下げたら良いのかの目標値も変わっていきます。当院の外来でも、まず現在のご自身の血圧が、どの血圧の診断基準に当てはまるのか把握しておくことを勧めています。

家庭血圧の測定条件

家庭血圧の測定条件

『血圧の正しい測り方』

  • 椅子に背筋を伸ばして座ってください
  • カフを心臓と同じ高さにしてください
  • 腕の力を抜いてください

家庭で血圧を測定する場合には、当院では「起床時」(1時間以内、できるだけ毎日同じタイミングで)と「寝る前」の1日2回の測定をお願いしています。忙しさなど様々な理由で1日1回しか測定できない場合には、起床時のみを測定するようお願いしています。血圧が高く出ると何度も繰り返し測定したくなりますが、数値がどんどんぶれていきますので、「原則2回まで」の測定を勧めています。

高血圧の原因

  • 塩分過多
  • 運動不足、肥満
  • タバコ
  • 飲酒
  • 高齢(65歳以上)

運動不足、肥満、タバコ、飲酒

高血圧が生じる原因としては、不摂生な食生活、特に塩分の取りすぎがあります。また運動不足に伴う肥満も高血圧の原因となります。タバコや飲酒も高血圧の悪化に影響していることが分かっており、これらの習慣を見直していくことが高血圧の治療には非常に重要と考えています。

脳・心血管病のリスク分類

A血圧以外の脳心血管病の危険因子 B臓器障害・脳心血管病

日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン作成委員会編:
高血圧治療ガイドライン2019(JSH2019), p49 ライフサイエンス出版2019.一部改変

将来の脳卒中・心不全・心筋梗塞に影響するリスク因子として、高血圧以外に様々なものが挙げられています。これらのリスク因子の数とご自身の高血圧の状態で、「低、中等、高リスク」の分類をすることができます。

高血圧の診断

高血圧の診断は、診察室の血圧高値だけで決めるものではありません。たとえ診察室の血圧が高くても自宅では血圧が低いこともあり、これを「白衣高血圧」と呼びます。逆に、診察室では血圧が正常でも自宅血圧が高くなる「仮面高血圧」と呼ばれるものもあります。白衣高血圧でも将来の高血圧のリスクになりますし、仮面高血圧は従来の高血圧と同等のリスクがあるため、これらの正確な診断が重要になります。そのため当院では可能な限り、家庭血圧の測定をお勧めしています。

高血圧の降圧目標

年齢・疾患における降圧目標

日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン作成委員会編:
高血圧治療ガイドライン2019(JSH2019), p53 ライフサイエンス出版2019.一部改変

患者さまから、「じゃあ血圧はどのくらいまで下げたらよいの?」と外来で良く質問されます。すべての人に当てはまる正しい血圧の目標値というものはなく、お一人お一人の患者さまが持っておられる病気やリスクによって目標値は異なってきます。

たとえば、「75歳以下で糖尿病のみお持ちの患者さま」でしたら添付の表にありますように、診察室で測定する血圧が「130/80mmHg未満」となることを目標として診察していきます。

高血圧の生活指導・食事療法

運動、体重測定、食事

  • 禁煙
  • アルコール制限
  • 運動
  • 体重減少
  • 野菜、果物
  • 飽和脂肪酸、コレステロールを控える
  • 減塩
生活習慣の修正項目 日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン作成委員会編:
高血圧治療ガイドライン2019(JSH2019), p64 表4-1ライフサイエンス出版2019.一部改変

高血圧は脳卒中や心筋梗塞の最大リスクとなるため、まず生活習慣を整えることが非常に重要になります。禁煙を推奨し、アルコールも男性20-30ml/日以下、女性10-20ml/日以下に減らすことを推奨しています。また体重もBMIで25未満になるよう説明しています。食事では野菜や果物の積極的な摂取を推奨し、飽和脂肪酸、コレステロール摂取を控えるよう指導しています。また塩分も6g/日未満となるように生活指導をしています。

当院でよく使用する高血圧症の治療

  • Ca拮抗剤
  • ARB/ACE阻害剤
  • サイアザイド系利尿剤
  • β遮断薬
主要降圧剤の積極的な適応一覧 日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン作成委員会編:
高血圧治療ガイドライン2019(JSH2019), p77 ライフサイエンス出版2019.

高血圧の薬物治療は、主に心臓、腎臓の状態次第で治療選択肢を変更しています。基本的にCa拮抗剤、ARB/ACE阻害剤、利尿剤、β遮断薬のどれか1つの降圧剤で治療を開始します。その後も高血圧が継続するようであれば、先ほどとは別種類の降圧剤を1剤追加し、経過をみていきます。

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