上京区・中京区近隣の総合内科クリニックです。呼吸器疾患(咳、息切れ等)、リウマチ・膠原病疾患のご心配のある方はお気軽にご連絡ください。患者さまが自分の病いと上手く向き合い、その人の人生をその人らしく生きていけるように手助けする、そんな医療を目標としています。

呼吸器領域 肺炎・間質性肺炎・慢性咳嗽

細菌性肺炎

市中肺炎の原因は?

  • 肺炎球菌、インフルエンザ桿菌、黄色ブドウ球菌、肺炎桿菌など
  • マイコプラズマ、レジオネラ、クラミジア

市中肺炎の原因は?

皆さんの日常生活の中で起こる肺炎のことを市中肺炎と呼びます。一方、病院に入院しているときに起こる肺炎を院内肺炎と呼びます。ここでは、市中肺炎について述べていきます。市中肺炎の原因として多い細菌は、肺炎球菌、インフルエンザ菌、肺炎桿菌、モラキセラカタラーリス、マイコプラマ、クラミジアなどと呼ばれる微生物です。また温泉などに行った後に感染するレジオネラ菌なども市中肺炎の原因になることもあります。

どんな人が肺炎にかかりやすいの?

高齢者、脳梗塞後、呼吸器の病気、糖尿病、免疫が抑制された状態

  • 高齢者
  • 脳梗塞後
  • 呼吸器の病気(肺気腫、肺結核後遺症など)
  • 糖尿病
  • がん
  • 免疫が抑制された状態(ステロイドや免疫抑制剤、抗癌剤を使用中)

どのような人が日常生活の中で肺炎にかかりやすいかといいますと、その代表例は高齢者の方々になります。基礎体力が低下している高齢者の方では、細菌の感染症がより悪化しやすく、肺炎になる確率も上がります。また、脳梗塞後の方や、肺気腫などの呼吸器の病気を持っている患者さまは、細菌を体外に排出する力が弱かったり、細菌自体が肺の中で拡がりやすくなってしまい、肺炎が起こりやすくなると言われています。糖尿病やがん患者さま、ステロイドなどの免疫抑制剤を使用中の患者さまなどでは、細菌と戦うための免疫力が低下しているため、より肺炎が起こりやすくなります。

肺炎の症状

  • 発熱
  • 黄色や緑色の痰(膿性痰)
  • 息切れ
  • 胸痛

発熱、咳

肺炎が起こると、お熱、咳に加えて黄色や緑色の痰(膿性痰)が出てきます。また肺炎が拡がると、息切れや呼吸困難を感じるようになり、胸の痛みを感じられる患者さまもおられます。高齢者は肺炎を発症した場合は、お熱などの典型的な症状が出にくいことがあり、むしろ身体のだるさや食欲がなくなるなどといった症状が中心となる場合もあり、特に注意が必要です。

細菌性肺炎と非定型肺炎の違いって?

クリニックの外来で診る市中肺炎には、「細菌性肺炎(さいきんせいはいえん)」と「非定型肺炎(ひていけいはいえん)」という2種類に分けられます。
わざわざこの2つを区別する理由は、それぞれを治療するためのお薬(抗生物質)が大きく変わるからです。細菌性肺炎ではお熱や咳、痰などの症状が中心になりますが、非定型肺炎ではお熱や頑固な咳はあっても、痰の量が比較的少なく、比較的年齢が若い方に多いなどといった特徴があります。これらを患者さまごとに判断し、できる限り適切なお薬を選んでいけるように努めています。

細菌性肺炎と非定型肺炎の違いって?

肺炎疑いの人にはどんな検査をするの?

胸部レントゲン、採血検査、喀痰検査

  • 胸部レントゲン
  • 採血検査
  • 喀痰検査

当院の外来で肺炎を疑った場合、まずは十分に聴診を行い、肺の中で肺炎による雑音が聞こえるかどうかを確認します。同時にSpO2モニター(サチュレーションモニター)という血中の酸素濃度を測定する機械を指の先に装着し、身体の中にしっかりと酸素がいきわたっているかを評価します。これらの診察でやはり肺炎を疑う場合には、胸部レントゲンを撮影し、実際に肺炎がどの場所に起こっているかを調べていきます。また同時に採血検査を行い、炎症所見(CRP、WBC値など)や腎機能などを測定して、肺炎の重症度やお身体全体の状態を調べ、どのような治療を行うか検討していきます。

肺炎の治療はどうするの?

内服、点滴

肺炎の治療は、適切な抗生剤を服用(もしくは点滴)することです。肺炎の重症度や疑わしい細菌の種類に合わせて、内服の抗生剤のみで治療するか、点滴の抗生剤にするか、これらを併用するかを検討してきます。指先に装着したSpO2モニター(サチュレーションモニター)の数値が低い場合には、酸素投与が必要になりますので、近隣の救急病院に入院も含めて紹介することを勧めさせていただきます。お身体全体の状態がそれほど悪くなく、SpO2モニターの数値も正常範囲の患者さまには、外来通院で抗生剤治療を行います。

当院でよく使用する肺炎の治療薬
内服 サワシリン・オーグメンチン
アジスロマイシン
点滴 セフトリアキソン

間質性肺炎

間質性肺炎とは何でしょう?

間質性肺炎とは何でしょう?

肺には肺胞と呼ばれる空気が入る小さい部屋がたくさんあります。この部屋同士は「間質(かんしつ)」と呼ばれる壁で区切られています。この壁(間質)に起こる肺炎のことを間質性肺炎(かんしつせいはいえん)と呼びます。

間質性肺炎が進行すると、この「間質」部分がだんだん壊れていくため、肺での空気の交換ができなくなっていきます。その結果、肺からの身体全体への酸素の供給が悪くなり、息切れや呼吸苦を感じるようになります。

間質性肺炎の進行はタイプによって様々ですが、数日で呼吸困難に陥るような急激なものや、数か月かけてゆっくり進行するものもあり、偶然に健康診断などで見つかることもあります。早期に発見してそのタイプや原因を調べることが大切になります。

間質性肺炎の原因は?

  • 膠原病などの自己免疫疾患
  • じん肺(アスベストなど)
  • アレルギー(カビや羽毛など)
  • 薬剤性
  • 放射線
  • 特発性(原因が同定できないもの)

間質性肺炎の原因は多岐にわたりますが、自己免疫疾患と呼ばれる膠原病などが原因で発症することがあります。アスベストなどを使用する職業に携わっている方では、それを仕事中に吸入していることでじん肺と呼ばれる間質性肺炎を生じることもあります。また、古い木造住宅などでタンスの羽毛布団の入れ替えをされた際に鼻から吸い込むカビや羽毛に反応してアレルギー症状が出現し、間質性肺炎を発症される方もおられます。一部の薬剤や放射線治療の副作用で間質性肺炎を生じることもあり、外来で間質性肺炎を疑った患者さまには、詳細にこれまでの病気の治療歴や内服歴を伺うようにしています。また、明らかな原因がわからないけれども、胸部レントゲンやCTでは間質性肺炎の所見があるものを、特発性間質性肺炎と呼びます。

間質性肺炎の症状

  • 咳(痰が絡むことはまれ)
  • 息切れ
  • 呼吸困難
  • 発熱(ない場合もあります)

間質性肺炎の症状

間質性肺炎を発症すると、咳や息切れが生じます。一般的な細菌性の肺炎の場合は咳に膿性痰などが重なることが多いですが、間質性肺炎の場合はどちらかというと空咳が一般的です。間質性肺炎の種類により、急激に悪化(数日程度)するものから、数か月~数年かけて徐々に進行するものまであり、動いたときの息切れが少しずつ出てきて気づかれるケースもあります。

間質性肺炎疑いの人にはどんな検査をするの?

採血検査、胸部レントゲン、胸部CT、気管支鏡検査

  • 採血検査
  • 胸部レントゲン
  • 胸部CT
  • 気管支鏡検査
  • 胸腔下肺生検

間質性肺炎を疑った場合、まずは聴診を行い肺の中で間質性肺炎による雑音(パリパリした雑音)が聞こえるかを確認します。同時にSpO2モニター(サチュレーションモニター)という血中の酸素濃度を測定する機械を指の先に装着し、全身への酸素循環の状態を評価します。間質性肺炎では、除外診断(他の肺の病気がないかを確認すること)がとても大切ですので、採血や胸部レントゲン検査を行い、詳しく調べていきます。これらの結果、当院の外来で間質性肺炎の疑いが濃厚の場合には、近隣の呼吸器専門外来にご紹介させていただき、胸部CTや気管支鏡検査などで検査をすることを勧めています。

間質性肺炎の治療はどうするの?

  • ステロイド
  • 免疫抑制剤
  • 抗線維化薬
  • 在宅酸素

間質性肺炎の原因によって治療方針は変わります。
自己免疫疾患(膠原病など)による間質性肺炎の場合には、ステロイドや免疫抑制剤が中心になります。また、特発性間質性肺炎の中で特にIPF(特発性肺線維症)と呼ばれるタイプには、間質性肺炎の影響で肺が固くなるのを抑えるための抗線維化薬という薬を使用することもあります。また治療をしても酸素の状態が不良な場合には、在宅酸素(鼻に酸素チューブを装着して酸素を流す方法)を行い、酸素を補充することで呼吸苦の改善を図ることもあります。

これらの治療に関しては、近隣の呼吸器専門外来や膠原病専門外来で診断されたのちに処方され、病状が安定されてから当院に再度紹介があり、その後は当院から引き続いて継続処方していくというパターンの患者さまが多いです。

長引く咳(せき)〔遷延性咳嗽・慢性咳嗽〕

遷延性咳嗽・慢性咳嗽とは何でしょう?

咳嗽は「がいそう」と呼び、いわゆる咳のことで、専門用語として咳嗽と書きます。
患者さまの咳が続いている期間の長さにより、咳の名前が違っており、3週間までを急性咳嗽、3-8週間までを遷延性咳嗽(せんえんせいがいそう)、8週間以上を慢性咳嗽(まんせいがいそう)と呼びます。

咳の症状で当院を来院される患者さまの多くは何らかの感染症による急性咳嗽にあたり、おおよそ2-3週以内に自然に咳は改善します。しかし、それ以上長引く咳の場合には感染症以外の原因も考えていく必要があります。

咳嗽に関するガイドライン 咳嗽に関するガイドライン第二版より

長引く咳(せき)の原因・特徴は?

感染後咳嗽 鼻汁や咽頭痛で先にはじまり、他の症状は良くなっても咳だけが残る
咳喘息 夜間や明け方に咳がひとくなる。季節の変わり目などに多い
アトピー咳嗽 喉の奥のイガイガ感、何かひっかかっている感じが続く。花粉症の人に多い
胃食道逆流症 食後や夜間に胃もたれ、胸やけがある。口の中がすっぱく感じる
副鼻腔気管支症候群 蓄膿症の経験がある。膿性の鼻水が続く
慢性気管支炎 タバコを吸っている人に多い
薬剤性咳嗽 一部の降圧剤(ACE阻害剤など)を使用中に起こる

長引く咳の原因として、先に咽の痛みや鼻汁などいわゆる風邪の症状があり、その後に咳だけがしつこく残っている場合には、まず感染後咳嗽(かんせんごがいそう)を考えます。 また、咳に加えて長引く黄色や緑の鼻水(膿性鼻汁)がある方は、副鼻腔気管支症候群という病気を疑います。これは鼻の周囲にある空間(副鼻腔)に細菌の感染が起こり、副鼻腔炎(いわゆる蓄膿症)を生じ、これにより鼻ダレが鼻の奥から喉に垂れ込んで気管にまで落ち込み、咳と痰が続くものです。症状が強い場合には近隣の耳鼻科に紹介させていただくこともあります。

明け方や夜間などに発作性の咳が出る場合には、咳喘息(せきぜんそく)を疑います。咳喘息はそのまま放置しておくと気管支喘息になることもありますので、早く見つけてきちんと治療をしておく必要があります。

また、喉のおくにイガイガした感じや、何か奥につかえた感じがいつも残存しており、花粉症をお持ちの方には、アトピー喘息を疑います。 タバコを長期間吸っている方の長引く咳では、慢性気管支炎や肺気腫、肺癌などを疑い、十分な検査を行って原因を調べます。

また、高血圧や心不全などで使用するACE阻害剤という種類のお薬を内服中の方では、お薬の副作用で咳がでることがあります。そのため、長引く咳で来院された方の問診では、これまでの内服歴などを詳細に伺うようにしています。

長引く咳(せき)への検査は?

胸部レントゲン、採血検査、喀痰検査

  • 胸部レントゲン
  • 採血検査
  • 喀痰検査

長引く咳の原因は上記のようにたくさんありますが、当院に来院された長引く咳(遷延性咳嗽・慢性咳嗽)の患者さまには、まず胸部レントゲンを行い、肺の中に何か異常所見がないかを調べます。また、同時に採血検査をして、炎症所見やアレルギー所見(好酸球の上昇など)、その他異常な数値がないかを調べます。また、咳に痰が絡んでいる場合には、喀痰検査を行い、結核菌やがん細胞などが出現してきていないかを調べることもあります。これらを検査しながら、疑わしい原因に対してお薬を処方し、それで咳が改善するかを調べていきます。たとえば、胃食道逆流症などで胃酸の逆流がひどくてそれが喉の奥まで上がってきている影響で咳が出ている場合には、胃薬を処方し、それで咳が改善するようであれば、長引く咳の原因は胃食道逆流症であった、と考えます。これを診断的治療と呼び、長引く咳の場合にはこれで一つずつ原因を探っていきます。

長引く咳(せき)の治療

  • 感染後咳嗽:咳止めをしっかり内服
  • 咳喘息:気管支拡張薬、吸入ステロイド
  • アトピー咳嗽:抗アレルギー剤
  • 胃食道逆流症:胃薬
  • 副鼻腔気管支症候群:抗生物質
  • 慢性気管支炎:禁煙
  • 薬剤性咳嗽:お薬の整理

感染後咳嗽を疑う場合には、咳止めを処方します。感染後咳嗽では、お薬でしっかりと咳を抑えきることで、あとは自然に咳が改善するケースが多いです。 咳喘息を疑った方には、まずは気管支拡張剤(メプチン®等)を吸入していただきます。咳喘息が原因の長引く咳の場合、咳は吸入すると速やかに改善することが多く、この反応が見られた場合には、吸入ステロイドをしばらくの間処方させていただき、十分に咳喘息を抑えるようにします。咳喘息は放置しておくと、本物の気管支喘息に移行することがあります。そのため、咳喘息の段階で十分な治療をしておくことを当院では勧めています。

アトピー喘息を疑った方には、抗アレルギー剤を使用し、胃食道逆流症を疑った方には、胃薬を処方します。また、咳に加えて長引く膿性鼻汁(黄色や緑の鼻水)がある方には、副鼻腔気管支症候群を疑い、抗生剤を処方することがあります。

このように、長引く咳の原因は多岐にわたるため、治療期間が長くなるケースもあり、疑った原因ごとにお薬を処方しては咳が止まるか反応を確認し、改善が乏しければ別の原因を考えてまたお薬を試す、ということをくり返し、少しでも早く症状が改善するように調整していきます。

咳嗽に関するガイドライン 咳嗽に関するガイドライン第二版より

クリニック情報Clinic Information

診療時間
 9:00~12:00(予約制)
17:00~19:00(予約制)

※訪問診療火曜午後、木曜午前・午後

外来休診日火曜午後、木曜、金曜午後、土曜午後、日曜、祝日

075-822-1010
FAX.075-822-1030
〒602-8155 京都府京都市上京区主税町999
JR・地下鉄「二条駅」駅より 徒歩14分
市営バス「千本丸太町」より 徒歩3分
PAGETOP
Copyright © 2024 永原医院 All Rights Reserved.